コラム

音楽療法とは

投稿日:2016年7月6日 更新日:

みなさんこんにちは。

最近は、雨降りの日が多いですね。これが「蝦夷梅雨」というやつなのでしょうか。

雨は風情があって好きなのですが、洗濯物が乾かなくて困りますね。

冒頭から地味な話ですみません。 笑

 

今日は「音楽療法」について、少しだけお話しさせて頂きたいと思います。

 

日本音楽療法学会の定義によれば、音楽療法とは「音楽の持つ生理的・心理的・社会的働きを用いて、心身障害の回復・機能の維持改善・生活の質の向上・行動の変容などに向けて、音楽を意図的・計画的に使用すること」とされています。

←うーん。なんだか難しいですね・・。

 

もう少し噛み砕いて言うと、音楽を聴いて気持ちが躍動したり、イライラした気持ちが落ち着いたり、音の響きやメロディーの美しさに心が揺さぶられ涙が出たり、心の無意識化に届いて、記憶を呼び起こすきっかけとなったり・・などの、音楽が人の体や心にもたらす様々な効果を、体や心の問題を抱える人に対し「治療行為」として意図的に用いることの総称を「音楽療法」といいます。

音楽は非言語コミュニケーションの媒体であり、会話という手段を用いなくても、音楽を通じて他者との意思疎通が図れたり、自己表現ができたり感情の表出ができたりします。

 

その領域は、①高齢者の方、②精神疾患の方、③障がいをもつ方(主に成人・児童)④緩和ケア(ターミナルケア)の4つに分かれます。

形式は、個人から小集団・大集団まで幅広く、いずれも対象となる方のアセスメントをきちんと行なった上で治療目標を立て、その方の「できること」に焦点をあて、治療を進めていきます。

また、瞬間瞬間で生れては消えていく音楽特有のライブ性は、「今起きていること」→「現実」に目を向けることができ、その場に身を置くことで、自然に自身→他者へ意識を向けることが可能です。

 

音楽療法士は、相手の細かな反応・表情変化を見逃さず、緩やかに快方向に誘導していくよう、ニーズに合った音楽や音刺激を、その人に合わせて柔軟に提供していかなければなりません。あくまでも主役は、相手(音楽療法を受ける方)なのです。

 

ただ自分の演奏や歌声に酔いしれ、患者さんの反応などお構いなしで、「私の素晴らしい音楽を聴きなさいよ!」という押しつけのプログラムでは、受ける方はちっとも楽しくないし、そんなのは音楽療法とは言えないと、私は思います。(←急に強気)

そんなこんなで、私は音楽療法の仕事を始めてもう10年以上になります。

予てからの夢であったピアノの先生という仕事を経て、他にも色々経験がしたいと思い医療事務の仕事に就き、そこで音楽療法の存在を知りました。

26歳で一念発起して音楽療法の学校で勉強をし、夢と希望を胸いっぱいに抱いてこの仕事を始めました。

 

ところが、音楽療法士として仕事を始めてすぐに、自分の思い描いていた音楽療法のイメージと、実際日々の現場での現実とのギャップに打ちのめされ、愕然としました。

「音楽が好き!」「音楽の力ってすごい!」・・それだけじゃダメなんだ・・と、恥ずかしながらその時初めて、気づきました。

 

それでも目の前の患者さんの笑顔が見たくて、毎日試行錯誤しながら、様々なアプローチの方法を考え、実践し、失敗し、また実践し、を繰り返し・・気持ちばかり空回りして、どうにも息苦しくつまらないセッションをしてしまったり、患者さんに「帰れ!」とスリッパや目覚まし時計を投げられたこともありました。

 

きっと当時の私は、「この人のために、私が何かしてあげよう!」とそんな驕った考えで取り組んでいたから、うまくいかなかったんだなぁと思います。

 

「私の力で」ではなく、その人が「持っている力」を引き出すためのお手伝いをする。

その人が、その人らしく生きるための「きっかけ」となる、そのツールが「音楽」であり、

「その人」を見ないで、寄り添おうとしないで、「音楽療法」はできないのです。

 

何だか私の思いばかりエラそうに書き連ねてしまいましたが・・・、私などはまだまだ音楽療法士としてはぺーぺーのひよっ子の未熟者で、まだまだ勉強中の身です。

 

これからもたくさんの人と出会い、学んでいけたら幸せです。

 

※音楽療法に興味のある方は、日本音楽療法学会のホームページをぜひご覧ください!

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